エステサロンの開業資金はいくら必要か|機器はリースか購入か、月々の数字で決める創業融資の考え方

エステサロンの開業資金はいくら|機器はリースか購入か、月々で決める 創業融資
エステサロンの開業資金は、自宅型で50万〜150万円、テナント型で500万〜1,000万円が目安です。
金額を動かすのは「機器」と「内装」。機器は購入なら融資の設備資金に載り、リースなら毎月の固定費になります。
決め方はひとつ。返済とリース料を足した月額が、控えめに見た月商の10%に収まるかどうかです。

「痩身の複合機を入れたいんです。でも300万円は、さすがに自己資金では無理で」
「じゃあリースにします」
エステサロンの開業相談で、この会話は本当によく出てきます。
でも、リースにすれば解決、ではありません。
支払いの形が変わるだけで、毎月出ていくお金は消えないからです。

私は杉並区で美容サロン専門の税理士事務所をやっています。
エステ・ネイル・まつげエクステ・美容室の創業融資を、日本政策金融公庫の担当窓口と連携しながら申請前の段階からサポートしています。
今日は、エステサロンの開業資金の内訳と、いちばん迷う「機器はリースか購入か」を、月々の数字で比べます。

エステサロンの開業資金の内訳と相場(自宅・マンション・テナント別)

エステサロンは、どこで開くかで必要資金が大きく変わります。
まず全体像を表で見てください。金額は税込の目安です。

項目 自宅サロン マンション一室 テナント(10坪)
物件取得費(保証金・礼金・仲介) 0円 40万〜60万円 90万〜150万円
内装・設備工事 0〜30万円 50万〜150万円 150万〜350万円
エステ機器 0〜60万円 100万〜250万円 150万〜350万円
ベッド・什器・備品 10万〜20万円 20万〜40万円 30万〜60万円
化粧品・消耗品の初回仕入 10万〜20万円 15万〜30万円 20万〜40万円
広告・予約サイト・HP 5万〜15万円 15万〜30万円 30万〜50万円
運転資金(3〜6か月分) 20万〜50万円 60万〜120万円 120万〜180万円
合計の目安 50万〜150万円 300万〜600万円 500万〜1,000万円

物件取得費は、家賃10万円のマンションなら保証金2か月・礼金1か月・仲介1か月で40万円前後。
家賃15万円の店舗物件なら、保証金が6〜10か月分になることが多く、それだけで90万〜150万円です。
ここは値切れません。だから、動かせる項目で調整することになります。

エステの開業資金を大きく動かすのは「機器」と「内装」

表を見て気づいた方も多いと思います。
金額の幅がいちばん広いのが、機器と内装です。ここが資金計画の分かれ目になります。

機器の相場は、おおよそ次のとおりです。

  • 痩身系の複合機(キャビテーション・ラジオ波・EMSなど):100万〜300万円
  • フェイシャルの複合機:50万〜200万円
  • 業務用スチーマー:3万〜10万円
  • 電動ベッド:5万〜15万円(手動なら2万〜5万円)

脱毛機やHIFUは、機器の値段以前に「エステで扱えるか」という医行為の線引きがあります。
資金計画に載せる前に、杉並区でエステサロンを開業する|機器の資金計画と、やってはいけない施術の線引き でメニューの適法性を先に確認してください。
買ってから使えないとわかった機器ほど、もったいないものはありません。

内装は、スケルトンからつくると坪25万〜40万円。10坪なら250万〜400万円です。
居抜きのサロン物件なら50万〜150万円で収まることもあります。
エステは「静かで、清潔で、外から見えない」がつくれれば十分。
美容室ほど内装にお金をかけなくても成立する業態です。ここは削れます。

機器はリースか購入か|月々の支払いと総額で比べる

本題です。250万円の痩身複合機を入れるとして、購入とリースを並べます。

購入(公庫の創業融資で買う)
設備資金として7年返済、金利は年3.5%で試算します。
公庫の返済は元金均等が基本なので、毎月の元金は250万円÷84回で約2万9,800円。
初回の利息は250万円×3.5%÷12で約7,300円。初月の支払いは約3万7,000円で、少しずつ減っていきます。
7年間の利息の合計は約31万円。総支払額は約281万円です。

リース(5年・60回)
機器リースの月額は、物件価格にリース料率をかけて決まります。
5年リースの料率は1.9%前後が目安で、開業前の個人はもう少し高くなりがちです。
料率1.9%なら月額4万7,500円、総支払285万円。
料率2.1%なら月額5万2,500円、総支払315万円。

購入(融資7年) リース(5年)
月々の支払い 約3.7万円→減っていく(平均約3.3万円) 4.75万〜5.25万円(一定)
総支払額 約281万円 285万〜315万円
所有権 自分のもの リース会社
公庫の融資枠 使う 使わない
途中でやめる 売却できる(残債は残る) 原則不可(残額を一括で払う)
審査するのは 公庫 リース会社(開業前は通りにくい)
経費の形 減価償却(数年に分けて) リース料が毎月そのまま経費

数字だけ見ると、総額は購入が少し有利、月々の負担も購入のほうが軽い。
返済期間が7年と長いぶん、月の支払いが薄まるからです。
ではなぜリースを選ぶ方がいるのか。理由は3つあります。

1つめ、公庫の融資枠を機器で使い切りたくない。運転資金を厚く借りたい方には合理的です。
2つめ、5年後に新しい機種へ替えたい。エステ機器は流行の入れ替わりが早い業態です。
3つめ、固定資産税や動産保険がリース料に含まれていて、手間がない。

ただし、ここに落とし穴があります。
開業前の個人は、リース会社の審査が通りにくいのです。
事業の実績がなく、返済能力を示す決算書もない。
通ったとしても、保証人や保証金を求められることが珍しくありません。
「リースにするから融資は少なめで」と計画を組んで、リースが落ちて機器が入らない。
この順番の失敗を避けるには、リースの審査結果が出てから融資額を確定するか、最初から購入前提で見積もりを取っておくことです。

月々の返済とリース料が「月商の10%」に収まるかで決める

購入かリースかは、単体で決めません。
私が必ず見るのは、返済とリース料を足した月額が、控えめに見た月商のどのくらいを占めるかです。

エステサロンの標準的な初年度モデルを置きます。
ベッド2台、客単価1万1,000円、1日1.6回転、月25日営業。
月商は88万円です。材料費率はエステなら9%前後なので、材料費は約8万円。
家賃16万円、広告費14万円、その他9万円を引いて、返済前の利益が約40万円。

ここに公庫からの借入700万円の返済が月5.8万円乗ります。月商に対して6.6%。
さらに250万円の機器を料率2.1%でリースすると、月5.25万円が加わって合計11万円。月商比12.5%。
一気に苦しくなるのが、この12%を超えたあたりです。
お客様が計画どおり来なかった月に、手元の現金が減り始めます。

私の目安は、返済とリース料の合計を初年度の月商の10%以内に収めること。
超えるなら、打ち手は削ることではなく、順番を変えることです。

  • 機器を2台から1台にして、2台めは軌道に乗ってからの追加融資で入れる
  • 中古機器で初期費用を半分にする(見積書があれば設備資金に載ります)
  • 据置期間を使って、返済開始をお客様がつく時期まで遅らせる(据置中は利息のみ)
  • リースは据置がないので、据置を使うなら購入のほうが効く

もうひとつ、エステ特有の注意点があります。
回数券やコースの前受金は、売上ではありません。
まとまった現金が入るので資金繰りが楽に見えますが、施術はこれから提供するもの。
前受金を返済原資に数えた計画は、審査で必ず突かれますし、開業後に自分の首を絞めます。

創業融資に機器をどう載せるか(見積書・設備資金・運転資金)

購入する機器は、公庫の創業融資の「設備資金」に載せます。
必要なのは、メーカーか販売代理店の正式な見積書。型番、数量、税込金額が入ったものです。
できれば2社から相見積もりを取ってください。面談で「他社と比べましたか」と聞かれます。

融資は実行後に使途を確認されます。
機器を買ったら領収書を保管し、見積書の内容どおりに使ったことを示せるようにしておきます。
見積書が250万円で実際は150万円の機器に変えた、という場合は事前に相談が要ります。

リースの機器は、融資の設備資金には載りません。
所有者がリース会社だからです。
その代わり、毎月のリース料は経費として運転資金の計画に入れます。
また、リースや販売会社の割賦(分割払い)は「他の借入」として面談で申告してください。隠す意味がなく、隠すと信用を落とします。

制度の数字も押さえておきましょう。
公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、融資限度額7,200万円。返済期間は設備資金20年以内、運転資金10年以内で、据置期間はどちらも5年以内です。
金利は、令和8年9月1日現在で、無担保・創業期(税務申告2期未満)の基準利率が年3.75〜5.35%。
女性、35歳未満、55歳以上の方は特別利率Aで年3.35〜4.95%。
さらに「創業支援貸付利率特例制度」で0.65%引き下げられます。
女性の開業が多い業態ですから、特別利率は必ず確認してください。

申込みの順番は、メニュー設計→機器の選定→見積書→資金計画→申込み→面談→融資実行→購入です。
物件を先に本契約してしまう失敗については、創業融資と物件契約のタイミング|サロン開業で先に本契約してはいけない理由 にまとめています。

エステサロン開業の自己資金はいくら必要か

自己資金の目安は、開業総額の2〜3割です。
テナント型で700万円かかるなら150万〜200万円、マンション一室で400万円なら100万円前後。
制度上の自己資金要件は撤廃されましたが、審査の現場では「いくら貯めたか」と「どう貯めたか」が今も見られます。

機器をリースにすると、自己資金の見え方も変わります。
開業総額が小さくなるので、同じ150万円でも自己資金比率が上がるからです。
ただし前述のとおり、リース審査が通らなければこの計算は崩れます。
自己資金の相場は 美容室開業の自己資金はいくら必要か|100万・300万・500万で審査がどう変わるか、通帳の整え方は 創業融資の自己資金の出どころ|見せ金と判定されない通帳の整え方 を読んでおいてください。

エステサロンは、美容室に比べて内装を抑えられ、材料費率も低い。
そのぶん、機器の判断ひとつで月々の固定費が5万円変わります。
リースか購入かは、カタログではなく、開業初年度の月商から逆算して決めてください。

よくある質問

Q. エステサロンの開業資金はいくら必要ですか
A. 自宅サロンで50万〜150万円、マンション一室で300万〜600万円、10坪のテナントで500万〜1,000万円が目安です。差を生むのは機器と内装で、痩身系の複合機は1台100万〜300万円、スケルトン内装は坪25万〜40万円かかります。運転資金は3〜6か月分を別に確保してください。
Q. エステ機器はリースと購入のどちらが得ですか
A. 250万円の機器なら、融資で購入して7年返済だと月々約3.3万円・総額約281万円、5年リースだと月々4.75万〜5.25万円・総額285万〜315万円です。総額と月々の負担は購入のほうが軽く、融資枠を温存したい場合や5年後に機種を替えたい場合はリースが向きます。
Q. リースの機器は創業融資の対象になりますか
A. なりません。所有者がリース会社のため、公庫の設備資金には載せられません。毎月のリース料は経費として運転資金の計画に入れます。購入する機器は正式な見積書があれば設備資金の対象になり、中古機器でも見積書があれば載せられます。
Q. 開業前でもエステ機器のリース審査は通りますか
A. 通りにくいのが実情です。事業実績も決算書もないため、保証人や保証金を求められることが多くあります。リース前提で融資額を小さく組み、リースが落ちて機器が入らない失敗が起きやすいので、リースの審査結果を待つか、購入前提の見積書を先に取っておくことをおすすめします。

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