美容室の創業計画書の書き方|全8欄の記入例とポイントを税理士が解説

創業計画書の書き方|全8欄の記入例とポイント 創業融資
この記事の結論(3行)
・創業計画書は全8欄。審査担当者がよく読むのは「経歴」「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」です
・美容師の武器は職務経歴と指名のお客様。スタイリスト歴と客数を数字で書けると説得力が変わります
・売上は「セット面×回転×客単価」で積み上げる。根拠のない「月商150万円」は逆効果です

創業計画書の用紙を前に、手が止まっていませんか。

こんにちは。杉並区で美容業専門の税理士事務所をやっている清水智佳子です。

日本政策金融公庫の創業計画書は、A3用紙1枚に8つの欄があります。たった1枚。でも、この1枚で審査の大半が決まると言っていい書類です。

この記事では、美容室で開業する方向けに、8つの欄それぞれの書き方と、読む側が見ているポイントを順番にお話しします。

創業計画書とは。全8欄の構成を最初に確認

公庫の創業計画書は、次の8欄で構成されています。

1 創業の動機/2 経営者の略歴等/3 取扱商品・サービス/4 取引先・取引関係等/5 従業員/6 お借入の状況/7 必要な資金と調達方法/8 事業の見通し

ポイントは、8つの欄がバラバラの質問ではなく、1本のストーリーでつながっていること。経歴があるから客数の見込みが立ち、客数が立つから売上の根拠になり、売上があるから返済できる。この流れが通っているかを、読む側は見ています。

1. 創業の動機。「夢」より「準備」を書く

ここでよくあるのが、「お客様に癒しの空間を提供したい」といった想いだけで埋めてしまうパターンです。想いは大事。でも審査の材料にはなりません。

書くべきは、準備の事実です。

記入例として、こんな骨組みです。「美容師歴12年。現在の店舗で店長を4年務め、指名のお客様を月間約80名担当。お客様が通える沿線で物件を探し、開業資金として3年間で300万円を貯めてきた」。

動機の欄で「この人は思いつきではない」と伝われば、残りの欄の説得力が全部変わります。

2. 経営者の略歴。美容師のキャリアはこう見せる

美容室の審査で、経歴は最重要クラスの欄です。同じ業種での経験年数が長いほど、評価は安定します。

書き方のコツは、勤務先ごとに役職と数字を添えること。「スタイリスト昇格」「店長として売上管理・スタッフ3名の育成を担当」「指名売上 月○万円」。持っている資格(美容師免許・管理美容師)もここに書きます。

雇われ時代の実績は、あなたが思っている以上に審査の武器になります。遠慮せず数字にしてください。

3〜6. サービス・取引先・従業員・借入の各欄

3 取扱商品・サービスには、メニューと単価を書きます。「カット6,600円、カット+カラー13,200円」のように具体的に。ターゲット層と、近隣店との違いも一言添えます。

4 取引先は、美容室なら販売先は一般客がほぼ100%。仕入先には取引予定のディーラー名や材料メーカーを書きます。

5 従業員は、最初は1人ならその通りに。将来の採用予定があれば軽く触れる程度で大丈夫です。

6 お借入の状況は、正直がすべてです。カーローンや奨学金も含めて、隠さず書く。ここで嘘や漏れが見つかると、他の欄まで疑われます。

7. 必要な資金と調達方法。左右がぴったり合うか

この欄は表になっていて、左に「必要な資金」(設備資金と運転資金)、右に「調達の方法」(自己資金・借入など)を書きます。左右の合計は必ず一致させます。

設備資金には、内装工事、セット面やシャンプー台などを、業者の見積書に基づいて記入します。感覚の数字ではなく、見積もりの裏付けが前提です。

自己資金は、通帳の残高と貯めてきた履歴が確認されます。金額の考え方は美容室の独立開業資金はいくら必要かで詳しくお話ししています。

8. 事業の見通し。セット面×回転×客単価で積み上げる

最後の欄が、売上と利益の計画です。ここで一番やってはいけないのが、根拠のない数字

「月商150万円」とだけ書いても、読む側には何も伝わりません。「リピート率90%を目指します」のような願望の数字も逆効果です。

積み上げ方の記入例はこうです。セット面2面、1日あたり客数7名、客単価8,000円、月25日営業。7名×8,000円×25日で月商140万円。

そのうえで、1日7名という数字の根拠を経歴とつなげます。「現在の指名客約80名のうち、通える範囲のお客様が約半数」といった実態に基づく説明ができれば、数字が生きてきます。

経費側は、家賃、材料費(売上の10%前後が目安)、水道光熱費、広告費、そして借入の返済額。利益から返済して、生活費が残る構造になっているかまで確認してください。

書き上げたら、この3つをチェック

提出前のチェックポイントは3つです。

1. ストーリーがつながっているか。動機、経歴、客数、売上、返済。どこかに飛躍があれば、面談でそこを突かれます。

2. 通帳と数字が一致しているか。計画書の自己資金と、通帳の実際の残高・履歴。ズレがあると信頼を失います。

3. 第三者が読んで質問が浮かばないか。ご家族や同僚に読んでもらうだけでも、穴は見つかります。専門家の目を入れるなら、このタイミングが一番効果的です。

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よくある質問

Q. 美容室の売上予測はどう立てますか?
A. セット面数 × 1席1日あたりの客数 × 客単価 × 営業日数で組みます。カットのみとカラー・パーマ併用では単価が変わるため、メニュー構成比を先に決めてください。
Q. 指名客の見込みは創業計画書に書いていいですか?
A. 数字にできるなら強い材料です。ただし感覚で人数を書くと根拠を問われます。前職での指名回数など、説明できる形にしてください。
Q. 材料費はどのくらいで見積もればいいですか?
A. メニュー構成で変わるため、自分の施術単価と使用量から積み上げてください。同業の一般値をそのまま置くと、面談で根拠を聞かれたときに答えられません。

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